田町の耕人 04

鉋の台を直すための「台直し鉋」というものがある。
これについてよく笑い話になるのが
「台直し鉋が狂ったら、台直し直し鉋が出てくるのか」
「台直し直し鉋が狂ったら、台直し直し直し鉋が出てくるのか」
工場で汗を出しきった職人たちには
このくらいの緩やかな会話が心地よかったりする。
そしてその答えは誰も求めていない。

お約束、とも言えるのだが
やはり折角の手仕事職人に取材できたので
道具を一部撮影させてもらった。
古いのから新しいのから
どの道具も現役真っ最中。
新しい道具が少し気恥ずかしそうにしているようにも見えるのが
また面白い。
やっぱりシワの一つや二つ、なきゃね。

これ以外にも手作りした数々の道具もあって
見ただけでもそれぞれに個性があるのがわかる。
しかもなかなかの個性。

一通り撮影を終えて
カメラマンが道具の片付けを手伝おうとすると
「それはいいですよ。私が片付けます。いや、私が片付けたい。」
とのことだった。

職人はこのオーケストラをまとめるマエストロ。
その関係性はより深く、濃い。